方舟の感想

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人気のイヤミス、というこだったので読んでみました。夕木春央(ゆうきはるお)さんの方舟(はこぶね)の感想です。あらすじとしては、語り手を含む大学時代の仲間(6人)、主人公の従兄弟(1人)、偶然出会った矢崎一家(3人)と地下建築で過ごすうちに、1人目の犠牲者が出る。地下建築から脱出するには装置を作動させた一人が、水没の危険性が高い地下建築に閉じ込められることとなる。誰が死ぬべきか?みたいな作品です。

方舟は、犯人はわかるが動機は最後までわからない作品

最後の最後までオチは予想できなかった。犯人は割とわかるのですが、動機が全然わからなくて不気味な作品でした。さすがのイヤミスって感じ!ネタバレになっちゃうのだけど、最後に水中を通って脱出するのだな、というのは随所に伏線があるので気付けちゃうと思います。でも本当に動機だけがわからなかったのです。まさか、いち早く脱出ルートに気付いたから、たったそれだけだったとは。デスゲームになっちゃうじゃん、みたいな物言いも面白かったです。二人目が死んでしまった理由はなんとなく察せられます。だって彼女のスマホのデータについての描写はほぼ1箇所のみでしたから。でも、それでもまだ同期にはつながらない。

これ読み終えたのって遊びに行ったどこかの高校の文化祭の学食だったんですよ。あの爽やかでハッピーな学生たちに囲まれたまま、ネットリとした読後感に包まれているの不思議な感覚でしたwオチを言って仕舞えば、ケーブルを繋ぎかえていたという点のみが全ての糸口になっていました。これってノーヒントでしたよね?もう一回読むと、ケーブルを繋ぎかえることに繋がる描写があるのかも。ミステリーって2周目は犯人の思考や視点をトレースできるのが実に良いですよね。

人物相関図

方舟の読書感想文(ネタバレあり)

ロジカルなイヤミスが好きって人にはおすすめです。6人の嘘つきな大学生が好きって人なんかに良いんじゃないかな。フジコや告白みたいなウェットでグロテスクな作品が好きって人にはちょっと物足りないかもしれない。私は面白かったでっす!

ネタバレあらすじ

読んだよってことを思い出すためにこの作品の概要や読書感想をメモっておきます。この作品はTwitter(X)なんかで話題になったイヤミス作品で、大学時代の友達6人と、主人公のイトコ、そしてとある親子(3人)が地下建築に閉じ込められる、という作品です。地下建築の肝となっているのが、入口が2つあること(1つは緊急出口)、地下3階が水没していること、それから鉄扉と大岩。鉄扉と大岩は描写がわかりづらいのだけど、鎖がぐるぐる巻き付いた大岩は地下2階に向かって鎖が伸びており、その先が巻き上げ機につながっている。1階の大岩は半分埋まっているので巻き上げ機をさらに動かせば地下2階にドスンと落ちてきそうだけど、落ちた瞬間に巻き上げ機のある部屋からは出られなくなる(反対側の地下3階の水没した階段にしか出られない)と言う密室トリックみたいな状況だった。犯人である麻衣は冷静に殺人を行い、自らが岩を落とす役を着せられるよう誘導し、ダイビングの道具を使って非常口の方から脱出した。この作品の面白いところは、ギリギリまで主人公たちが助かるように見せかけたところ、また、主人公が助かる選択肢があったのにそれを自己保身のために手放してしまった、と言う後味の悪さと文字通り一生分の後悔をラストの数ページに載せたこと。素晴らしい作品でした!